20歳を過ぎてから海外移住を目指した僕の話(米国から豪州、そして香港へ)

米国での語学留学を経て豪州に渡り就業&永住権獲得。更には現地で出会った香港人女性と結婚して2007年に激動の香港へ。海外移住計画遂行時の思い出と、ミッション達成後の生活を綴ります。

マイナンバーの罠

自分は香港で金融商品を取り扱う会社に勤めているのですが、

日本に生まれた者として祖国の繁栄を祈りながらも、

日本の将来に対する不安が高まるような出来事が起きれば起きるほど(震災や北朝鮮)、

資産の一部を日本国外へ移したいと言って、

自分たちの取り扱っている金融商品へのお申し込みが増えるという、

何とも複雑な心境にさせられる状況にいます。

 

で、そんなクロスボーダーな仕事、特にお金を取り扱うような仕事をしていると、

香港だけでなく日本の法律やルールにも敏感にならざるを得ず、

そんな我々にとってここ数年で最も大きな話題となったのが

何といっても日本での「マイナンバー制度」の施行と言えるでしょう。

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香港なんてかなり前から国民総背番号制なので、

銀行や証券口座を開設するにしたって、保険を買うにしたって、

はたまた病院で診察してもらうにしたって

固有の番号が付帯している香港IDを必ず提示して、

日本に比べれば比較的縦割り行政感のない(?)政府や官庁が情報を共有するのですが、

日本ではこういった制度に不安を抱いたり、反感を覚えたりする人達がまだまだ多いみたいですね。

 

また、ほぼ時を同じくして経済協力開発機構(OECD)が

全世界で租税回避の取り締まりを強化したことによって、

今では香港だけでなく、俗に言うタックスヘイブンと呼ばれる国々

(BVIとかケイマン諸島とか、ルクセンブルクとか)の金融商品を日本居住者が購入するには、

マイナンバーの提出が求められるようになっているのです。

 

で、こういう事を見込み客とかに言うと、大体皆さん「え~」ってなるんですよね。

まあ気持ちは分からないではありませんが。

 

ただ、関係するのはこれから商品の購入を考えている人達だけではなくて、

投資商品で自分の契約からお金を受け取る人達もマイナンバーの提出が必要ですし、

その資金を日本の銀行口座で受け取る場合にも、

(大抵の場合)銀行にマイナンバーを提出していなければ受け取れないらしいのです。

 

という風に、日々お客様達とマイナンバーのお話をしている自分なのですが、

この度マイナンバーで失敗をしてしまいました。

訳あって、自分が日本に残してきた自分の銀行口座に、

香港の自分の銀行座から数年ぶりに送金してみたのです…。

 

もう何となく想像できますよね。

そうです、海外居住者である自分にはマイナンバーは発行されず、

よって日本の銀行にマイナンバーも提出しているわけもないので、

自分の口座(香港)から自分の口座(日本)への送金なのに受け取れないのです!!

 

これこそまさに「医者の不養生」と言うのでしょうが、後の祭り…。

マイナンバーを発行してもらうにも住民票を戻さなければならず、

もちろん実家への一時帰郷時にやらなければならないので、

当面帰郷の予定がない自分に残された選択肢は送金をキャンセルして、

別の口座(例、両親)へ送金をし直すということだけ。

 

しかもお金戻してまた送り直してというだけのことに

使った時間やコストは決して小さくはなく、

平日の日中は仕事で忙しい自分の代わりに銀行へ手続きに行った嫁からは

「なんで始めっからお母さんの口座にしなかったのよ」とか、

「カウンターで45分も費やしたんだから」とか、

「あなた、本当に金融機関で働いているの?」とかと愚痴られ放題。

精神的資源も大幅に消費しました…。

 

それにしても自分の口座なのに受け取れないっていうのは、やっぱり納得がいかない。

結局は日本居住者しか国内に銀行口座を保有できないという、

日本政府の方針がそもそもの問題であって、

こんなことしてたら益々ガラパゴス化が進行するだけですよ、日本!!